自己啓発の事例で企業の成功例と失敗例を挙げながら正しい方法を解説

昨今ではさまざまな企業が自己啓発を導入していますが、その目的のほとんどは社員一人ひとりの活性化を図るためです。

なぜならそれが結果的に企業としても成長を迎えることができるからなのですが、この記事をお読みの方も

  • 自己啓発を取り入れるとは言っても、具体的に何をしたら良いのか分からない
  • ネットによくある事例を自己啓発として取り入れても、社内の活性化が図れるとは到底思えない

上記のような考えが本音ではないでしょうか?

私自身、このような悩みをお抱えの方から

本当にネットによくあるような自己啓発の事例で社員達は変わるものなの?

とよく相談を受けるのですが

社長、それでは残念ですが変わることはありません。
良くて平行線、ほとんどの場合は現状よりも悪化するでしょう。

と返答しています。

この記事をお読みの方も本心で思っているその考えは当たっており、「世間で自己啓発と思われているもの」を導入してみても変化がないなら会社として損益を被っていないのでまだ良いですが、ほとんどの場合は現状から悪化しています。

この記事で分かること
  • 会社のために社員を活性化させる自己啓発とは
  • 企業として自己啓発を取り入れる具体的な事例
  • 実際に企業に自己啓発を導入した際の成功例と失敗例

これまでさまざまな社内環境を整えるために、多様な角度から自己啓発を導入したことがあるこれまでの実績と事例を踏まえながら、自己啓発の業界に20年従事している専門家が一つ一つ解説していきます。

この記事を書いた人

1982年生まれ。2004年(22歳)から現在に至るまで自己啓発の世界に身を置き、自己啓発のプロフェッショナルとして営業・講演・研修活動を行い、現在の月間セールス日本一の記録も保有しています。

すべて正規に版権を取得しており、自社取扱いプログラムともなっている

  • ナポレオン・ヒル(成功哲学の祖。「思考は現実化する」など成功法則を体系化)
  • ジョセフ・マーフィー(潜在意識の法則)
  • マクスウェル・マルツ(サイコ-サイバネティクス理論)
  • ジグ・ジグラー(自己イメージ改造理論)
  • ブライアン・トレーシー(営業の神様)
  • デール・カーネギー(道は開ける・人を動かす)
  • ジョー・ヴィターレ(引き寄せの法則ブームのきっかけとなった、ザ・シークレットの賢人エイブラハム)

これらすべてのプログラムを所有、実践し、プログラムユーザーへレクチャーしています。

現在のクライアントは法人のみですが、全国に在籍するインストラクターの育成と、プログラムユーザーのフォローサポートも担当しています。

~主な取扱い業務~

大手企業の新入社員研修
営業 / セールスなどの社内講演
オペレーションマニュアルの作成

自己啓発とは

自己啓発とは当人が気付いていないことに気付かせて、物事を明らかにすることを言います。

「気付いていない」と表現しましたが、当人が気付いていない原因とは「知らない」からではないのです。

ほとんどの場合、当人の「できない」という思い込みが起因しています。

例えば、なかなか遅刻癖の直らない社員がいたとしましょう。

この社員には「起きられない」「私は遅刻癖のある人間だ」などのたくさんの思い込みがあります。

では、この社員によくある自己啓発の事例として読書をさせたり、資格を取らせたりすることで遅刻癖は治るでしょうか?

治るわけはありませんよね。

きっと読書をさせればそのせいで余計に朝起きれなくなって遅刻の頻度が上がったり、資格を取ろうとしてもそれに時間を割いたことで睡眠時間が減り、いつもよりも業務に支障が出たりするのです。

これでは会社にとって当人に「世間で言う自己啓発」をさせたことがマイナスに働いてしまいます。

正しい自己啓発とは遅刻癖のある社員の心構えから変えることで、本人も気付いていなかった面に気付いてもらい、習慣が変わることで遅刻しないように変わることを言います。

本人が気づいていないことに心構えを変えることで気付いてもらい、問題解決や現状の改善を行うことが自己啓発なのです。

正しい自己啓発の事例

自己啓発の専門家として、正しい自己啓発の事例として挙げられるものは一つしかありません。

それは、自己啓発を専門家としている人間に入ってもらって、現状を把握してもらった後にそれぞれの処方箋となる改善策を出してもらうことです。

これはなぜかというと、本人たちが気付いていないことに気付いてもらい、心構えを変えていかないと、問題は解決しないからです。

先程の遅刻癖のある社員もそうでしたよね。

社員たちに自己啓発をさせようと考えたきっかけを思い返してみて下さい。

社内の現状が問題なければ、自己啓発を導入しようとは考えないはずです。

問題はないがもっと良くしたい、今よりも業績を伸ばしたいから、そのために自己啓発を導入したいといった場合も実は同様なのです。

分かりやすく例えるなら、業界の最前線で活躍するトップアスリート達を想像してみて下さい。

この記事をお読みの方がアスリートのコーチだとしたら、今よりもっとポテンシャルを上げるために、より良い成績を残せるようになるために、「世間で言う自己啓発」の内容としてそのアスリートに資格を取らせたりさせるでしょうか?

その業界の知識がなかったとしても、アスリートのより良い成長のために行うことと言えば、個々に合ったフィジカル面やメンタル面の強化を行うことでしょう。

つまり、社員たちにも同様に個々にあった成長を促すために必要な自己啓発を行わないと、せっかくの取り組みも無駄に終わってしまうのです。

自己啓発導入事例|失敗したケース

ここからは自己啓発を企業が導入して、失敗したケースについて触れていきます。

私達のところに相談に来た時点で、失敗した事例をお持ちの方がたくさんいらっしゃるので、それらをまとめていきます。

失敗ケース1:資格や副業に力を入れたところ、離職率が上がった

1つの目の失敗ケースは、社員たちに資格を取れるように勉強を促したり、副業を許可したことで離職率が上がってしまったことです。

「可愛い子には旅をさせよ」という諺もありますが、それで離職率が上がってしまっては本末転倒です。

自己啓発もベクトルを自社へ向けさせなければ、逆に優良な社員を失うきっかけにも繋がってしまいます。

資格を取得することは素晴らしいことですが、自己啓発のために資格を取得する際に知っておきたい大切なことについては、以下の記事で詳しく解説しています。

失敗ケース2:「自己啓発」という名のキャリアアップで転職する人間が増えた

2つ目の失敗ケースは、世間で言う自己啓発を実践したら転職希望の人間が以前より増したことです。

世間で自己啓発と言われているものは、そのほとんどは自己啓発ではなくただのキャリアアップです。

「本当に?」と思われますか?

記事を書いている人や企業を見てみて下さい。

「自己啓発 事例」で検索した際に、上位を占めている記事のほとんどが転職斡旋の企業がならんでいますよね。

これが真実なのです。

自己啓発ではなく社員に間違った自由を与えることは、企業からしたら命取りになるのです。

失敗ケース3:副業を許可したら業務に支障をきたした、問題を起こした

3つ目の失敗ケースは、副業を許可したら通常業務に支障をきたしたり、副業の方で問題を起こしてしまったことです。

副業をすれば少なくとも金銭が発生することを取り扱いますので、責任が発生することでこれまで集中できていた通常業務にも影響が少なからず発生します。

私達がこれまで関わってきた企業の統計ですと、危ない案件や怪しい話に乗せられてしまいがちな人の30%は、社内では評判の良い真面目な社員であるという統計も出ています。

たとえ許認可制で厳しく取り締まっていたとしても、その包囲網を掻い潜ってバレないように行ってしまう人はいるものです。

副業を許可することで社内とは別の風に当たり、本人の成長を促すきっかけにはなりますが、これも自己啓発とは言えないものです。

自己啓発導入事例|成功したケース

続いて自己啓発を企業が導入して、成功したケースについて触れていきます。

私達のところに相談に来た時点で成果を持っていらっしゃった企業から、私達が介入したことで成功した事例に繋がった企業もいらっしゃるので、それらをまとめていきます。

成功ケース1:マネジメント能力が身に付き、団結力が向上して部署が成長した

1つ目の成功ケースは、役職を持つ社員たちを集めて個々に必要な心構えを身に付けてもらうことで、部署毎の団結力が向上したことです。

個々に必要な心構えが何なのかを見抜き、そしてそれを個別に指導することは労力の掛かることですが、そうする以外にありません。

なぜなら、全員が同じ問題を抱えているわけではないためです。

分かりやすく例えるなら、病院に来ている風邪の症状の人達も全員同じ症状ではありませんから、処方する薬も異なるのと同じです。

これを全員まとめて一斉にセミナーなどで行ってみても、伸びる人がいる一方で変わらない人もたくさんいるのです。

世間ではいろいろな研修が自己啓発研修と一括りにされているので、分類するとどうなるのか気になる方は、以下の記事が参考になります。

成功ケース2:社員が前向きに取り組むようになったことで売上・生産性が向上した

2つ目の成功ケースは、社員の心構えを変えるために必要な要素を補ったことで、仕事にやりがいを持てなかった社員が前向きになり、会社全体の雰囲気が明るくなったり、売上や生産性が向上したことです。

やりがいを持てない社員に足りないものは、熱意がない、目標がない、信念がないなど原因は個々によって異なります。

これもケース1と同じように、一人ひとりと真摯に向き合って対応できるような専門家でないと、改善することはできません。

また、一人ひとりのマンパワーが変化を迎えた後に、きちんと帰ってきてくれないと企業としては逆効果になってしまいます。

成功ケース3:トラブル・クレーム・ミスが減ることで社内全体が大らかになった

3つ目の成功ケースは、業務におけるトラブル・クレーム・ミスが減るように個々の集中力を高めたり、既存のフローを改善できるアイデアを閃いてディスカッションできるような環境を整えることで、社内全体の空気が大らかになったことです。

トラブル・クレーム・ミスなどは発生することで人的、時間的リソースを割かれることになりますから、当人以外の社員にもフラストレーションを生む原因になります。

また「既存のフロー以上の最効率はない」と思い込んでいて、より良いアイデアに気付けないと、生産性を上げたり売上を向上させることはできません。

「あり得ないことはあり得ない」のと同様に「当たり前も当たり前ではない」のです。

現在の思考の枠となるものを広げることができれば、社内全体のストレスを緩和することもできるようになるのです。

思考の枠を広げるためには、本人の心構えを変えることが必須条件になります。

自己啓発を取り入れようとしたきっかけを明確にする

正しく自己啓発を取り入れるためには、自己啓発の事例を調べてみようと思ったきっかけを明確にするところから始めましょう。

なぜなら、そこに必ず解決しなければならない問題が潜んでいるからです。

キャリアアップさせたい?

社員のキャリアアップをさせたいのであれば、本来の心構えを変える自己啓発ではなく、世間で自己啓発と呼ばれているような読書や資格の取得で十分でしょう。

しかし、これは簡単に例えるのであれば福利厚生を従来よりも少し充実させた程度のレベルに留まりますので、社内全体の改善や抱えている問題の解決に至るのか?というと、この記事の冒頭でも述べた通りで社内全体の活性化が図れるほどの効果はありません。

前向きに取り組みたい社員にとっては有り難い話ですが、そうでない社員にとってはこれまでと何も変わりませんから、会社が前向きに取り組みたいだけで空振りに終わってしまうケースも多く見受けられます。

そもそも上記で例えるなら後者のような社員を変えるために、自己啓発の事例を調べていたはずですよね。

少し古い資料ではありますが、厚生労働省がキャリア支援企業の好事例集としてまとめているものがありますので、企業が自己啓発としてどのような事例を取り入れているのか気になる方は、以下の資料が参考になります。

厚生労働省によるキャリア支援企業好事例集(外部PDF資料)

能動的に動きたくなる心構えを身に付けさせたいはずでは?

一方で、社員たちが能動的に業務に取り組みたくなるような心構えを身につけることが、本来在るべき心構えを変える自己啓発というものです。

  • 目標を持てない社員に目標を持てるように変わってもらう
  • やる気がない社員にやる気を持てるように変わってもらう
  • 集中力がない社員が業務に集中できるように変わってもらう
  • チームワークが発揮できない社員に団結力が持てるように変わってもらう

上記のような目的が、自己啓発を取入れるために事例を調べたきっかけではないでしょうか。

それであれば知識やスキルを身に付けさせるのではなく、心構えを変えることに専念した方が、個々の能力も社内環境の改善にも役に立てることができます。

自己啓発のメリット

心構えを変える自己啓発を導入する事例のメリットは、人としての在り方を構築することにも繋がります。

  • 社内の風通しを良くする
  • 人間関係を良好にし、縦横の繋がりを強固にする
  • 既に前向きな社員や反応の良い社員だけではなく、後ろめたい社員や反応の悪い社員を変える
  • 人として成長できることで、プライベートの充実や家族、恋人などの関係良好にも繋がる
  • 自信を持ち、明るく前向きに生きることができるようになることで、魅力的な人間になれる

ここまでで書いた内容で振り返ってもらうと分かりやすいのですが、目標が持てたり、前向きになれたり、熱意があったり、集中できたり、チームワークを発揮できたりするような人は、誰の目からも魅力的に映りますよね。

心構えを変えるということは、今後の人生においてどの場面でも活用することができる、かけがえのない資産なのです。

自己啓発のデメリット

続いては自己啓発を導入する事例を誤ってしまうと発生するデメリットもまとめていきます。

  • 読書、ジョギング、資格取得などの「行為」を自己啓発としても社内環境は変わらない
  • 精神論や根性論を自己啓発と勘違いすると、気合と根性の体育会系社風になる
  • 社員をまとめて一斉にやろうとすると、一番狙っている届いて欲しい層には響かない

上記以外でも仮に心構えを変える自己啓発であったとしても、社員相手に真正面からぶつかっていくと大抵は引かれて避けられ終わってしまいます。

これを分かりやすく例えるなら、歯医者に連れて来られた子供のようなものです。

これらの様々な要素をきちんと理解していて、かつ上手に自己啓発を行える専門家でないと効果を出すところまで持っていくのは難しいのです。

正しい自己啓発を取り入れて社内改善に役立てる

自己啓発を社内へ導入する際には

  • 自己啓発として正しい事例を取り入れる
  • 自己啓発をきちんと行える相手から取り入れる

上記の2点に関して注意して選択するようにすれば、きちんと見合った成果を出すことは可能です。

心構えを変えるものではなく手段であったりスキルを身につけるような自己啓発では、会社として望んでいる効果を得ることは難しいでしょう。

本当に企業へ自己啓発として参入しているところであれば、ぶっつけ本番ではなくトライアルのような形でお試しができるはずですので、その時に導入事例として検討してみるのもひとつの手です。

ライバル企業に差をつけるためにも、正しい心構えを変える自己啓発を取り入れていきましょう。

まとめ
  • 正しい自己啓発とはスキルや資格を身につけるのではなく、心構えを変えるもの
  • ネットにある自己啓発の事例を参考にすると、ほとんどは無意味に終わる
  • 心構えを変えることは、これからの人生のどの場面でも役に立つ